Vol.105-1
巻頭言
異業種に聞く
「元気をくれる大切な言葉」


紹介してくれた人
籔本 正啓
専念寺 住職
昔ながらのお寺の良さを守りながら、新しいことにも挑戦
私は大阪市にある融通念佛宗・専念寺の住職をしています。幼い頃に父を亡くし、その後、お寺で暮らすようになりました。小学生の頃には「自分がこのお寺を継ごう」と決め、23歳で住職になりました。
現在は「ネコ坊主」として、SNSを中心に猫の写真とともに、人生や人間関係についての言葉を発信しています。難しい仏教の話をするよりも、悩んでいる人の心に少しでも届くような、分かりやすい言葉を伝えることを大切にしています。
また、猫御朱印を通じた地域ネコ(外ネコ)・サクラネコの支援や、災害被災地への寄付、人形供養などにも取り組んでいます。

昔ながらのお寺の良さを守りながら、新しいことにも挑戦する。「お寺って、意外と身近な場所なんや」と思ってもらえるようなお寺を目指して、日々活動しています。
地域ネコ(外ネコ)から教わる「今日を生きる」ということ
SNSでは、言葉とともに地域ネコ(外ネコ)たちの姿も紹介しています。
ネコたちは、のほほんと過ごしているように見えるかもしれません。でも、彼らは毎日を必死に生きています。ご飯を確保し、安心して眠れる場所を探し、今日一日を生きる。その姿を見ていると、これこそが「生きること」の原点なのではないかと思います。
人間は賢いからこそ、いろいろなことを考えすぎてしまいます。過去のことを悔やんだり、まだ起きていない未来を心配したり。さまざまな思いを抱えすぎて、生きづらくなってしまうこともあります。
そんなときは、ネコたちのように「今を生きている自分」に少し意識を向けてみる。そうすると、未来への不安とは違うものが見えてくるかもしれません。
ご飯を確保し寝床を確保できているということは生き物界ではエリートです。それだけでも、生きるための大切なものをちゃんと持っています。
だから、ときには「今日もよく生きた」と、自分を褒めてあげてくださいね。
無理に答えを出さない
私自身も日々の生活の中で、「今日を生きられた」ということに喜びや感謝を感じています。
朝起きたら妻がいて、子どもの姿がある。普段は当たり前だと思っていることに少し意識を向けるだけで、感謝や幸福を感じることができます。気分の良い日も、そうでない日も、そんな日常の中から「今日を生きる元気」が湧いてきます。
困難にぶつかったとき、私はすぐに答えを出そうとしないようにしています。悩んでいるときほど、頭の中で同じことを何度も考えてしまい、かえってしんどくなるからです。
そんなときは、何も考えずに1時間ほど歩きます。ただ無心で歩いていると、不思議と頭の中が整理されて、「まあ、何とかなるか」と思えることがあります。
それでも心が落ち着かないときは、お経を読みます。声に出してお経を読んでいる間は、悩みから少し距離を置くことができます。
これまで住職をしてきた中でも、人間関係やお寺のことなど、思い通りにならないことは何度もありました。
そうした経験から感じるのは、困難の真ん中にいるときに、無理に答えを出さなくてもいいということです。

歩く。お経を読む。掃除をする。そして、一晩寝る。
まずは自分の心を整えて、そのときの自分にできることを一つずつやっていく。
「今日を生きる」。
私は困難にぶつかったときほど、この言葉を大切にしながら、一日一日と向き合うようにしています。
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2026.09.14





